第13回ニュース検定直前合格必勝講座を開催しました【大阪】

2022年5月22日(日)

 第57回ニュース時事能力検定試験(N検)を突破するための「N検直前合格必勝講座」が5月22日、大阪市北区梅田の毎日新聞大阪本社ビルの毎日文化センターで開かれました。 講師でN検1級合格者の中島章雄・毎日文化センター元社長は、受講生に、「ロシアによるウクライナ侵攻にはびっくりしましたね。激動の時代、進路を間違えずに正しい方向に進むため、日々のニュースを正しく理解するため、N検合格を目指して頑張りましょう」とエールを送り、講座が始まりました。

 現役記者時代には、毎日新聞大阪本社社会部で、大阪府警担当の事件記者、東京本社政治部では日本の政治・経済のど真ん中の永田町・霞が関で首相官邸キャップなどとして取材した中島講師。ニュース現場を知り尽くした経験を踏まえて、「実際のN検試験では、4択の問題が出題されますが、正しい選択肢が分かるだけではなく、残り3つの選択肢のどこが間違いないのか、どう直せば正解になるのか、を徹底して学習することが合格への近道です。本日の講座では、正答以外の選択肢についてもじっくりと学習しましょう」と述べ、最近の毎日新聞紙面を取り上げ、N検の出題5分野(政治、経済、暮らし、社会・環境、国際)に対応したニュース記事と公式問題集を突き合わせて、「記事のこの部分が公式問題集ではこのような設問、選択肢になって出題されている」など、説明・解説を加えながら講義が進みました。

 ちょうど、バイデン米大統領が韓国、日本を訪問中での開講となり、日米首脳会談の開催、日米と豪、インドの4カ国の協力枠組み「クアッド」首脳会議が開かれるタイミングでした。 講座ではまず、当日5月22日朝刊5面の「なるほどりワイド」の「NATOどんな組織」を基に解説。第二次大戦後の東西冷戦を経て現在にいたる国際社会の対立の構図の中で、日米欧を中心とする西側・資本主義国陣営と、ソ連・ロシア、中国を中心とする東側・専制主義国陣営の関係について、軍事面での北大西洋条約機構(NATO)とワルシャワ条約機構を軸に概略を解説。記事中の地図を参照し、当初はソ連・ロシア側だった東欧諸国のポーランドなどが冷戦後の現在では西側のNATOに加盟。その一方で、ソ連の一部だったウクライナがNATO加盟を希望したことがきっかけとなり、今回のロシアによるウクライナ侵攻が勃発し現在も継続している、と解説しました。中立を保っていた北欧のフィンランド、スウェーデンも政策を大転換しNATOに加盟申請。その背景について中島講師からは「フィンランドはかつて、ロシアに支配され第二次大戦後独立しましたが、その際、領土の12%をロシアに割譲せざるを得ませんでした。ロシアと事を構えればまた侵略される、と恐れ、長年、NATOに加盟せず中立政策を取っていましたが、今回、ウクライナ侵攻を目の当たりにしてそれまでの政策を転換してNATO加盟を決断しました」と述べていました。

 受講生から「フィンランドなどの加盟にトルコが反対していますがなぜ」と質問があり、講師からは、「トルコはかつて、オスマントルコ帝国といわれ、広大な領土を持った大国でした。第一次大戦で敗れ、英仏露がその領土を定規で線を引いたように真っすぐな国境線で分割したのがサイクス・ピコ協定です。当時の領土に住んでいたのが『国境を持たない最大の民族』と言われたクルド人です。トルコ、シリア、イラン、イラクなどに分断されたクルド人は合計約3000万人といわれますが、分割された各国では少数民族で、迫害されてきました。特にトルコ国内では独立運動を展開したため、トルコ政府は『テロ組織』としています。クルドの人たちは独立運動をする際に中立国の北欧の国に援助を求めました。このため北欧の国はトルコへ武器輸出禁止の制裁を加えてクルドの人々を支援していたのです。このため、トルコはフィンランドなどのNATO加盟に反対しています。クルド人については2020年版公式テキス112㌻に日本人とかかわりが掲載されています。クルド人は、湾岸戦争で米側に付き、イラクのフセイン政権と戦いましたが、フセイン政権に鎮圧され、トルコ国境の山岳地帯に逃れ、「国内避難民」化しました。その際に日本人で初めて国連難民高等弁務官に就任していた緒方貞子さんが、山岳地帯で死んでいくクルドの女性や子どもたちを救うため、それまで国外に逃れた『難民』だけが保護対象だったのを、国境を越えていないクルドの人たち=『国内難民』も保護対象として救援に踏み切ったことが記載されています」と話していました。

 日韓関係については、5月11日3面「尹錫悦韓国新大統領が就任」の記事中の「日韓両国間の主な懸案」の一覧表が、公式問題集52㌻問4の設問とほぼ同じであることを示し、文在寅前大統領時代に悪化の一途をたどっていた日韓関係を説明していました。

 4月5日経済面の「東証再編、新3市場始動」の記事については、上場企業について、東証1部など4区分からプライム市場など3区分に再編した図を参考に、ほぼ同じ図が掲載されている公式問題集62㌻問4について以下のような解説がありました。「記事(以下、数字は4月4日再編時のもの)には3771の上場会社が、新たに最上位のグローバル企業向けの『プライム市場』、中堅向け『スタンダード市場』、新興向け『グロース市場』に再編されました。かつて東証はニューヨークやロンドンと肩を並べるくらいの大きな株式市場で、『東証1部上場企業』といえば、世界に通用する企業と言われた時代もありました。しかし、現状では、大きく出遅れていました。そこで上場基準を厳格化して世界に通用する株式市場、を目指して再編されたのです。しかし、実際には、東証1部2177社のうち、プライム市場へ移行するための基準(流通株式時価総額100億円以上など)を達成できていない社が633社もあり、そのうちスタンダード市場に338社が移行しましたが、残り295社は基準未達のままプライム市場に移行しました。基準達成までの期限は未定、のままです。これでは外国人投資家は判断のしようがないかもしれません。当初の思惑通り世界に通じる株式市場になれるのかどうか、注視していく必要がありますね」と、解説をしていました。

 東日本大震災での東京電力福島第1原発事故関連記事からは、「社会・環境(5月17日第3社会面、「帰還困難区域で初の避難解除へ」)」と「政治(5月6日1面、「日英共同訓練円滑化」)」、「経済(5月19日1面、「処理水放出計画了承」)」の3分野の3つの記事が公式問題集の問題の設問3つの背景となっている、として次のような解説がされました。

 「帰還困難区域で初の避難解除へ」の記事は、問題集33㌻問3選択肢③の「原発事故に伴う避難指示区域のうち、なお残る帰還困難区域で除染が実施された例はない」に関連。記事では、5月16日に政府、福島県、同県葛尾村の会議があり、同村に設定されていた野行地区の一部で除染が進み、「6月12日に避難指示が解除される」、と公表したことが記載されています。講師は、「まだまだ、困難は続くと思いますが、解除されれば帰還困難区域で住民が再び暮らせるようになる初のケースとなります」と解説していました。

 「日英共同訓練円滑化」の記事は、問題集59㌻問1選択肢④の「RCEP協定の発効と同時に、一部の参加国が実施してきた福島県産の食品などの輸入規制は全て解除された」に関連。記事では岸田文雄首相が5月5日に訪英先のロンドンでジョンソン英首相と会談、ジョンソン首相が福島第1原発事故に関連した日本産食品の輸入規制について、英議会での手続きが進めば「6月末までに規制は撤廃されるだろう」との見解を岸田首相に伝えた、とあります。また、同日の政治面では、岸田首相が福島産のポップコーンを持ち込み首脳会談で味わう場面があったことも記事化されていると指摘。講師は「福島第1原発事故後に輸入規制を導入したのは55カ国・地域ありました。しかし、台湾が22年2月8日、キノコなどを除いて輸入禁止措置を解除するなど41カ国・地域が撤廃。14カ国・地域が継続中です。うち4カ国・地域(中国、韓国、香港、マカオ)が輸入停止中。10カ国・地域が検査証明書等要求していますが、解説したように英首相が福島産ポップコーンを岸田首相とほおばり、6月までに検査証明書等の要求を撤廃すると表明しました」と背景を説明しました。

 「処理水放出計画了承」の記事は、問題集33㌻問3選択肢④の「第1原発の敷地内にたまり続ける『処理水』について政府は、蒸発させて大気中に放つ『大気放出』による処分を決めた」に関連。記事では、溶け落ちた核燃料(燃料デブリ)の取り出しと並び最大の懸案だった処理水について政府は21年4月、放射性物質の濃度を下げた後、さらにトリチウム以外の放射性物質の濃度が国の排出基準未満になるまで多核種除去設備「ALPS」に通した後、海水で薄め、海洋放出する方針を決定していますが、この計画について原子力規制委員会が了承しました。講師は「ただ、安全性や風評被害への懸念は根強いです」とコメントしていました。

 最後に、希望する受講生には、本番の受検までの間、講師から課題プリントと正解と解説などをメールで送り、疑問・質問をメールでやり取りする方法が説明されました。 第58回ニュース時事能力検定試験(N検<2022年9月実施>)に対応した直前合格必勝講座は、22年8月7日(日)に毎日文化センターで開催予定です。問い合わせは同文化センター(06・6346・8700)まで。

 なお、2020年度まで同文化センターにて講座受講+検定受検のセット申し込みを受け付けておりましたが、2021年度より同文化センターでの受付は当講座受講のみとさせていただいております。N検受検申し込みは各受講者個人でしていただきますようお願いいたします。

 

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第13回N検直前講座の様子=22年5月22日、毎日新聞大阪本社ビルの毎日文化センターで